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メタタグ,タイトルタグの商標的使用ーバイクリフター事件・大阪地裁平成29年1月19日判決

バイクリフター事件・大阪地裁平成29年1月19日判決・判時2406号52頁

【事案の概要】

 Xは,「バイクリフター」「BIKE LIFTER」の文字列による商標権を有している(第12類,「X商標」という)。

 Yは,次の態様でY標章を使用している。

ア Y商品の販売等
 Yは,平成25年8月から少なくとも平成28年8月まで,Y各標章を付したオートバイ運搬用台車であるY商品を製造し,販売し,又は販売のために展示していた。
 Y商品は,X商標の指定商品である「オートバイを横方向にずらし移動するための台車・その他オートバイの運搬用台車」に含まれる。

イ Yによる宣伝広告
 Yは,少なくとも平成28年8月まで,ホームページ上に,商品名を「バイクシフター」又は「bike shifter」とするY商品の写真を掲載し,商品説明等の文章中において,「バイクシフター」,「bike shifter」の語を使用していた。
 また,Yは,少なくとも平成28年8月まで,YAHOOショッピング,楽天市場,Amazon,ウェビックなどのインターネットショッピングサイトに出店し,Y各標章を付したY商品の写真を掲載し,同商品を販売していた。

ウ YによるX商標又はY標章のメタタグ及びタイトルタグでの使用
 Yは,そのウェブサイト(http://world-walk.com)の html ファイルの<metaname=″keywords″content=>に,<meta name=″keywords″content=″バイクリフター″>と記載し,<meta name=″description″content=>及び<title>において,<meta name=″description″content=″バイクシフター&スタンドムーバー 使い方は動画でご覧下さい″>,<title>バイクシフター &スタンドムーバー</title>と記載している。

 XはYに対し,商標権及び不正競争防止法に基づき差止及び損害賠償を請求した。一部認容。

【判 旨】

判決は,商標の類似性,商品の類似性を肯定した上で,メタタグ,タイトルタグでの使用(上記ウ)について次の通り判示した。

ディスクリプションメタタグ,タイトルタグでの使用について

「Yのウェブサイトの html ファイル上の前記前提事実…記載のコードのうち,「<meta name=″description″content=″バイクシフター&スタンドムーバー使い方は動画でご覧下さい″>」との記載は,いわゆるディスクリプションメタタグ,「<title>バイクシフター &スタンドムーバー</title>」との記載はいわゆるタイトルタグであり,これらを記載した結果,ヤフー等の検索サイトにおいてキーワード検索結果が表示されるページ上に,Yのホームページについて,上記タイトルタグのとおりのタイトルが表示され,上記ディスクリプションメタタグのとおりの説明が表示されると認められる(弁論の全趣旨)。
 ところで,一般に事業者がその商品又は役務に関してインターネット上にウェブサイトを開設した際のページの表示は,その商品又は役務に関する広告であるということができるから,インターネットの検索サイトの検索結果画面において表示される当該ページの説明についても,同様に,その商品又は役務に関する広告であるというべきである。そして,これが表示されるように html ファイルにディスクリプションメタタグないしタイトルタグを記載することは,商品又は役務に関するウェブサイトが検索サイトの検索にヒットした場合に,その検索結果画面にそれらのディスクリプションメタタグないしタイトルタグを表示させ,ユーザーにそれらを視認させるに至るものであるから,商標法2条3項8号所定の商品又は役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する使用行為に当たるというべきである。また,上記のディスクリプションメタタグないしタイトルタグとしてのY標章1の使用は,それにより当該サイトで取り扱われているY商品の出所を表示するものであるから,Y商品についての商標的使用に当たるというべきである。」

キーワードメタタグでの使用について

「Yのウェブサイトの html ファイル上の前記前提事実(4)ウ記載のコードのうち,「<meta name=″keywords″content=″バイクリフター″>」との記載は,いわゆるキーワードメタタグであり,ユーザーが,ヤフー等の検索サイトにおいて,検索ワードとして「バイクリフター」を入力して検索を実行した際に,Yのウェブサイトを検索結果としてヒットさせて,上記(1)のディスクリプションメタタグ及びキーワードタグの内容を検索結果画面に表示させる機能を有するものであると認められる。このようにキーワードメタタグは,Yのウェブサイトを検索結果としてヒットさせる機能を有するにすぎず,ブラウザの表示からソース機能をクリックするなど,需要者が意識的に所定の操作をして初めて視認されるものであり,これら操作がない場合には,検索結果の表示画面のYのウェブサイトの欄にそのキーワードが表示されることはない。(弁論の全趣旨)
 ところで,商標法は,商標の出所識別機能に基づき,その保護により商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを目的の一つとしている(商標法1条)ところ,商標による出所識別は,需要者が当該商標を知覚によって認識することを通じて行われるものである。したがって,その保護・禁止の対象とする商標法2条3項所定の「使用」も,このような知覚による認識が行われる態様での使用行為を規定したものと解するのが相当であり,同項8号所定の「商品…に関する広告…を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」というのも,同号の「広告…に標章を付して展示し,若しくは頒布し」と同様に,広告の内容自体においてその標章が知覚により認識し得ることを要すると解するのが相当である。
 そうすると,本件でのキーワードメタタグにおけるX商標の使用は,表示される検索結果たるYのウェブサイトの広告の内容自体において,X商標が知覚により認識される態様で使用されているものではないから,商標法2条3項8号所定の使用行為に当たらないというべきである。」

 

【コメント】

1 まず,メタタグ,タイトルタグとは??

メタタグ:ウェブサイトに関する様々な情報を検索エンジンに提供するためのhtmlコード。

ディスクリプションメタタグ:検索エンジンの検索結果として表示される。

キーワードメタタグ:検索結果の表示順位を決める際に参照されることがある(検索画面には表示されない)

タイトルタグ:検索結果画面にタイトルとして表示される部分。

 つまり,ディスクリプションメタタグとタイトルタグは表示されますが,キーワードメタタグはわざわざソースコードを開かなければ(一般の人には)表示されません。

2 商標的使用論

 商標は,そのロゴマーク(業界では「標章」といいます。)の出所を表示してその信頼を保護することを目的としています。例えば,「SONY」の表示があることで,需要者は「あ,SONYの製品だからいい品質の商品い違いない!」という信頼を得るわけです。これを,商標の出所表示機能といいます。このような需要者の信頼を裏切るようなパクリ商品を販売させないことが,商標法で認められる主な権利になるわけです。

 逆に,このような需要者の信頼を裏切らない=商標的使用ではない使用であれば,商標を使ってもいいことになります(登録商標は何でもかんでも使ってはいけない,というものではありません)。例えばヨドバシカメラの袋には「SONY」のロゴがありますが,これは誰もその紙袋が「SONY」製品だと思わない,包装としての使用だからOKということです。

3 メタタグ,タイトルタグ

 そのような商標的使用論,最近はウェブサイトに関して問題となることも多いです。特に,広告関係ですね。

 本件で問題となったディスクリプションメタタグ,タイトルタグでの使用については,従来から裁判例がありました。

⇒中古車の110番事件・大阪地裁平成17年12月8日判決・判時1934号109頁。

⇒IKEA事件・東京地裁平成27年1月29日判決・判時2249号86頁。

 本判決は,キーワードメタタグでの使用が,需要者に表示されない点で,商標的使用ではない=使用してOKという点で新しい判決です。

名誉毀損による検索結果削除請求・東京高裁平成30年8月23日判決

【事案の概要】
Xはインターネット上で広告業務及び広告代理業務等を行う株式会社である。Yは検索エンジン「Google」を提供する検索事業者である。利用者がXを検索すると,「詐欺」「詐欺師」等が表示される(本件摘示事実)ことから,XはYに対し,名誉毀損を理由に検索結果の削除を求めた。棄却。

【判 旨】
「…本件検索結果の削除請求は,Xが,人格権としての名誉権に基づき,検索事業者であるYに対し,現に行われている侵害行為を排除し,又は将来生ずべき侵害を予防するため,侵害行為である本件検索結果の提供の差止めを求めているものであって,前記のとおり検索事業者による検索結果の提供は,検索事業者自身による表現行為という側面を有するとともに,検索結果の提供は,公衆が,インターネット上に情報を発信したり,インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり,現代社会において,インターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしているところ,検索事業者による特定の検索結果の提供行為が違法とされ,その削除を余儀なくされるということは,検索事業者による表現行為の制約であるとともに,検索結果の提供を通じて果たされている上記の役割に対する制約でもあり,また,検索結果の提供の差止めは,事前抑制であることの性質上,予測に基づくものとならざるを得ないこと等から,損害賠償(民法710条)又は名誉回復のための処分(民法723条)等の事後救済の場合よりも広汎にわたり易く,濫用のおそれがある上,実際の抑制的効果が事後救済の場合により大きいと考えられるのであって,検索結果の提供の差止めは,表現の自由を保障する憲法21条の趣旨に照らし,厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ許容することができると解するのが相当である。
 そして,最高裁昭和61年判決(※北方ジャーナル事件) は,…公務員又は公職選挙の候補者に対する評価,批判等の表現行為に関するものであって,本件検索結果の提供という表現行為とは異なるものの,…本件検索結果において摘示された本件摘示事実…は,公共の利害に関する事実であるから,その点で,本件検索結果の削除請求については,最高裁昭和61年判決が判示する要件が基本的に妥当するものといえる。」
「以上の事情を総合考慮すると,Xの名誉毀損を理由とする人格権に基づく本件検索結果の削除請求,すなわち,公共の利害に関する事実である本件摘示事実…に係る表現行為の差止請求については,本件摘示事実…による表現行為が専ら公益を図る目的のものでないことが明らかであるか,又は本件摘示事実…が真実でないことが明らかであって,かつ,被害者であるXが重大にして回復困難な損害を被るおそれがあると認められる場合には,上記の表現行為の価値がXの名誉に劣後するということができ,有効適切な救済方法としての差止めの必要性も肯定されるから,上記のような要件を具備するときに限って,これが許されると解するのが相当である。」

※判例通称は著者付記。

【コメント】
「忘れられる権利」事件は犯罪歴,プライバシーの一種に基づいて検索結果の削除を求めた事案でしたが,本件は名誉毀損を根拠にしています。一方で検索事業者の表現の自由と利用者の情報流通基盤があり,もう一方で名誉毀損をされる人の人格権があり,これを比較するという大枠です。

この点,東京高裁は北方ジャーナル事件を引用し,名誉毀損される人の側に非常に厳しい要件を課しました。これは,あくまで検察結果に関する判断であり,個別のサービス(掲示板やSNS)に対する判断ではありません。