仕事

出口治明『知的生産術』

【本の紹介】

出口治明『知的生産術』(日本実業出版社・平成31年)

ライフネット生命の創業者の一人で,現立命館アジア太平洋大学学長の出口先生の本です。

出口先生は世界史にも造詣が深く,よく好きで本を買います。この本は主として仕事についての先生の考え方がかかれています。

 

「ビジネス上のイノベーションのほとんどは,既存知の組み合わせです。知識が豊富にあるだけでは,新しいものを生み出すことはできません。

豊富な知識を自分の頭の中でさまざまに組み合わせ,それを外に向けて発信する力(アウトプットする力)がこれからは何よりも求められるのではないでしょうか。

イノベーションは,前述したように既存知の組み合わせですが,『既存知間の距離が遠いほど劇的なイノベーションが生まれる』という法則があります。」(同書56頁)

私は弁護士で,特に知的財産やIT系の法務が好きなんですが,

法律以外のことも含めて知識を涵養することと,「これとこれをこういうふうに掛け合わせたら面白いんじゃないかな」という視点を常に持っていたいと思います。

法律の世界でも,ある分野の視点や理論が別のところで役に立ったりするものです(専門特化にも弊害がある,ともいえます。)。

「そんなばかな!」という突拍子もない組み合わせが,案外革新的なものだったりするんですが,実は昔からあったことだったりもしますね。

 

 

令和元年9月30日追記

「『怒る人間はみんなバカである』…

●人間は必ず①か②のどちらかに入る。

①意欲があってそこそこ賢い人…相手が「意欲があってそこそこ賢い人」の場合は,怒る必要がない。なぜなら,『ここがよくないね』と指摘さえすれば,あとは自力で矯正できるから

②意欲もなく,賢くもない人…相手が「意欲もなく,賢くもない人lの場合も,怒ってはいけない。なぜなら,怒られている理由を理解できず,怒られている事実だけを恨みに思うから。

●相手が①の場合も,②のの場合も,『怒る』という行動は,相手をポジティブに動かすことがない。

●ゆえに,『怒る人間は,みんなばかである』。」(同書233頁)

部下に怒ることの不合理性(損得勘定でマイナス)を説いた個所で,すごく好きです。

『怒らないコツ』では,「感情」でなく「勘定」という言い回しよかったです。

加藤俊徳『脳が知っている 怒らないコツ』

本田健『大富豪からの手紙』

【本の紹介】

少し前の本ですが,いいなと思った箇所をピックアップします。

ストーリー調で読みやすいです。

「『決断にストレスを感じることほど,即決する!』ことです。『決めるのが怖いと思うこと』ほど,すぐい決めてしまうクセをつけることです。決断には『断つ』という字が入っています。」

「…この世界は危険な場所ではなく,素晴らしいところなのですから,『心配していることの90%は,実際には起きない』んです。」同書62頁。

嫌なことは後回しにしがちです。しかし,後回しにした場合の判断と,今の判断と,たぶん結論は変わらないんですよね。

決断のスピードを速くしたいものです。

 

「『自分の才能を使って,仕事で稼ぐ』という方法しかないんだよ。資産と呼べるものを持たなければ,自分で作り出すしかない。そして,売り物は自分『才能しかない』んだ。」

「…『君が持っている中で,いちばんの才能で勝負する』ことが必要なんだ。…『キミが情熱的になれて,寝食を忘れるほど好きなこと』をやらなければ,成功できないんだよ。」同書168頁から169頁。

仕事で大切な2つのことはね,『情熱』と『工夫』なんだ。」同書203頁。

才能を発揮できる分野で,情熱と工夫をこれでもかとつぎ込める,そんな仕事ができる人生は幸せなんでしょう。

私は,得意な知財やIT法務,企業法務の仕事に工夫を凝らしているとき,私はしんどさと楽しさが両立します。

もともと勉強は好きなんですが,そこに顧問先企業の相談という血が通うと,もっと楽しくなります。幸せだなー。

 

「大切なのは,普段から『次のステップは,何か?』を考えておくことだよ。多くの人はね,『次のステップが何かが,わからない』という理由で,今の場所にとどまってしまっている。」同書253頁。

「…キミはどんな人と一緒にいたいだろうか。…簡単に言って,人には2種類いる。それはね,『与える人』と『奪う人』だよ。『与えるんが好きな人』のところには人が集まるし,『奪おうとする人』からはみんな去っていくんだ。」同書290頁。

「島の左近と佐和山の城」という言葉がありますね。

石田三成が家臣の島野左近に,当時の俸禄(年収)の半分である1万石を与えていたことから,優秀な人材を登用することの心得,と私は解釈しています。

もちろんお金に限りませんが,与える人でありたいですね。

橋下徹『実行力』

【本の紹介】

橋下徹『実行力』(PHP新書・令和元年)

最近売れているこの本について,気になった点をコメントします。

1 リーダーの仕事について

「リーダーの仕事は,部下を『やる気』にさせること」

「僕が痛感したのは,『組織は口で言っても動かないが,何かを実現させるとメンバーの意識が劇的に変わる』ということです。今まで『できない』と思っていたことが『できる』という成功体験に変わると,エンジンがかかります。」

「…部下の意識改革をしようとするなら,小さな『改善』だけでゃなく,メンバーに衝撃を与えるようなことを実現させることが必要です。」(同書98頁から99頁)

最近,そういう仕事ができているかなー

…と,胸に手を当てて考えてしまいました。

 

 

2 優れたビジョン

「優れたビジョンは,簡潔で具体的」

トランプ大統領の減税政策について「最初はA4のたった一枚の紙から始まっています。優れたリーダー・トップの方針というものは,簡潔で具体的で,『それがあるからこそ組織が動くことができる』というものです。」

「他方,日本の予算編成でよく出される『メリハリのある予算』『少子高齢化時代の課題に対応できる予算』…などという方針では,組織は大改革に踏み出せません。このような抽象的なスローガンは,ごく当然のことを言っているだけで…」同書126頁

私のお付き合いさせてもらっている,成功している会社の社長は,会社の規模に関わらず,大事にしているものが明確でシンプルだな,と思いました。

 

 

3 トップが欲しい情報,資料

「トップは比較優位がパッと分かる資料が欲しい」

「職員が僕のところに持ってきた書類で,一番ムダだと思ったのは,口頭で説明できることが書いてある書類です。経緯や背景事情について説明文や解説文などは,わざわざ書類に書く必要はありません。それらは口頭で完結に説明してくれれば十分です。」

定性評価で見て,『この観点ならA案が比較優位』『この観点ならB案あが比較優位』ということがきちんと整理してある資料は,いい資料です。」同書185頁から186頁。

もうね,これはすべてのビジネス文書がそうですね。口頭での説明ですら,そうです。

 

背景事情を後回し,という点は我々が裁判所に出す書面もそうです。

例えば訴状では,結論である「請求の趣旨」を冒頭に書いたうえで,結論を導くの骨格である「請求の原因」を,背景事情・経緯たる「関連事実」とを書き分けます。

なぜか,こういうことができる人ばかりじゃないですよね。

 

比較優位という視点は,特に弁護士実務ついて,司法修習でさんざん勉強させられるました。

例えば,「相手方に1000万円を請求する」という目標があるとすと,それを実現する複数の法律構成(法律上の根拠,理由)があって,どの法律構成をとるのが最もよいか,比較優位を検討するわけです。

いわゆる文系の世界では,唯一絶対の正解はなくて,複数のベターな正解から1つを選ばなければいけません。比較優位という視点はとても大事ですね。

野村克也『超二流 天才に勝つ一芸の極め方』

【本の紹介】

野村克也『超二流 天才に勝つ一芸の極め方』

 

 

たまには書評をば。

凡人を自称する同氏による「天才に勝つ」方法論である。

私がこの本で特に心に残ったのは次のところ。

「読者の皆さんの中にも,仕事でいい評価をもらえずにストレスを溜めている人がいるかもしれない。もちろん理不尽な理由で評価されないこともあるだろう。だが,それでも「腐ったら終わり」である

 他人の評価は真の自分の姿を映し出す鏡だと思って,謙虚に仕事に取り組むことを忘れてはいけない。そうすれば,いつか必ずきちんと見てくれる人があらわれて,評価を得られる日が来る。ただ,もし腐って投げやりになってしまえば,上司や周囲からの評価はますます悪くなる一方だし,それが上向くことも永遠にない。

 もしも自分が自分で思っているだけの評価が受けられないと感じているならば,それは甘えが生まれている自分に対する警鐘だと思うべきだ。「謙虚になれよ」と。そこで踏ん張れば,本物の力が必ずついてくる。そして,見ている人からきちんと評価されるようになるはずだ。」(同署83頁)

沁みますね。弁護士という業界にいると,本当に頭のいい人,天才を見ます。いかに自分が凡人であるか思い知らされるわけです。

凡人の弁護士堀尾,腐らず,頑張ります。