推論する記事による事実摘示ーロス疑惑朝日新聞事件・最高裁平成10年1月30日判決

推論する記事による事実摘示ーロス疑惑朝日新聞事件・最高裁平成10年1月30日判決・集民187号1頁

(1)判旨

「新聞記事中の名誉毀損の成否が問題となっている部分において表現に推論の形式が採られている場合であっても、当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、当該部分の前後の文脈や記事の公表当時に右読者が有していた知識ないし経験等も考慮すると、証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を右推論の結果として主張するものと理解されるときには、同部分は、事実を摘示するものと見るのが相当である。本件記事は、上告人が前記殺人被告事件を犯したとしてその動機を推論するものであるが、右推論の結果として本件記事に記載されているところは、犯罪事実そのものと共に、証拠等をもってその存否を決することができるものであり、右は、事実の摘示に当たるというべきである」

(2)コメント

インターネット上の名誉毀損について考えるとき,その投稿が事実を言っているのか,意見や感想にすぎないのか,区別する必要がありました。

事実と意見の区別ーロス疑惑夕刊フジ事件・最高裁平成9年9月9日判決

中には,「こいつが犯人ではないか?」等,推論するような投稿記事があります。これは事実でしょうか,意見でしょうか。

そういうときに使うのが本判例です。

名誉毀損事件ではやはり一般読者の基準,というのが大事ですね。

名誉毀損判断におけるインターネット上の掲示板の読み方 東京地裁平成20年10月27日判決

 

法的見解の表示にについて

法的見解の表明・新・ゴーマニズム宣言事件ー最高裁平成16年7月15日判決