パックマン事件・東京地裁昭和59年9月28日判決

(1)はじめに

 「パックマン」というゲームソフトが,著作権法でいうところの「映画の著作物」に当たることを認めた判決として有名です。

(2)判決要旨

表現方法の要件

「表現方法の要件は、前記(一)のとおりであるが、そこでは、「視覚的又は視聴覚的効果」とされているから、聴覚的効果を生じさせることすなわち音声を有することは、映画の著作物の必要的要件ではなく、視覚的効果を生じさせることが必要的要件であること解される。
 映画の視覚的効果は、映写される影像が動きをもつて見えるという効果であると解することができる。右の影像は、本来的意味における映画の場合は、通常スクリーン上に顕出されるが、著作権法は「上映」について「映写幕その他の物」に映写することをいうとしている(第二条第一項第一九号)から、スクリーン以外の物、例えばブラウン管上に影像が顕出されるものも、許容される。したがつて、映画の著作物の表現方法の要件としては、「影像が動きをもつて見えるという効果を生じさせること」が必須であり、これに音声を伴つても伴わなくてもよいということになる。
「右に述べた要件は、映画から生じるところの各種の効果の中から、「視覚的効果」と「視聴覚的効果」とに着目し、そのうち特に「視覚的効果」につき、これに類似する効果を生じさせる表現方法を必須のものとしたものであるから、「映画の著作物」は本来的意味における映画から生じるその他の効果について類似しているものである必要はないものと解される
 したがつて、現在の劇場用映画は通常観賞の用に供され、物語性を有しているが、これらはいずれも「視覚的効果」とは関係がないから、観賞ではなく遊戯の用に供されるものであつても、また、物語性のない記録的映画、実用的映画などであつても、映画としての表現方法の要件を欠くことにはならない。」

存在形式の要件

「映画の著作物は「物に固定されていること」が必要である。
「物」は限定されていない…
 したがつて、物に固定されているとは、著作物が、何らかの方法により物と結びつくことによつて、同一性を保ちながら存続しかつ著作物を再現することが可能である状態を指すものということができる。

(3)コメント

 冒頭のように,ゲーム「パックマン」が「映画の著作物」に該当することを認めた裁判例です。一般的に,「映画の著作物」に該当するための要件を判示しており,古い判決ですが今日でも重要な判決です。

 その後,最高裁もゲームソフトが「映画の著作物」に該当することを前提に判断しています。

⇒中古ゲームソフト事件・最高裁平成14年4月25日判決

ときめきメモリアル事件・最高裁平成13年2月13日判決も参照。

※近時の例として神獄のヴァルハラゲート事件・東京地裁平成28年2月25日判決参照(平成30年9月2日追記)。

 では,ゲームソフトであればなんでもかんでも著作権法の「映画の著作物」にあたるのか??というとそうでもありません。

 例えば,静止画が圧倒的に多いゲームでは,上記の表現方法の要件(「影像が動きをもつて見えるという効果を生じさせること」)を満たさないため,映画の著作物にあたりません。

 少数ながら,否定例は次のとおり存在します。

⇒三国志Ⅲ事件・東京地裁平成11年3月18日判決

⇒猟奇の檻事件・知財高裁平成21年9月30日判決