2017年11月

まとめサイトによる名誉毀損等 大阪地裁平成29年11月16日判決

大阪地裁平成29年11月16日判決
(1)事案の概要
Xは在日朝鮮人のフリーライターである。Yはインターネット上にXに関する投稿の内容をまとめたブログ記事を掲載したところ,同行為はXに対する名誉毀損,侮辱,人種差別,女性差別,いじめ,脅迫及び業務妨害に当たるとして,XがYに対して慰謝料2000万円及び弁護士費用200万円の合計2200万円等を請求した。一部認容。

(2)判決要旨
 判決はまずYによるブログの内容について,名誉毀損,侮辱,人種差別及び女性差別を認定した上で,まとめブログにより新たな権利侵害が発生したかどうかについて,次のように判示した。
Yによる表題の作成,情報量の圧縮,レス又は返答ツイートの並べ替え,表記文字の強調といった行為により,本件各ブログ記事は,引用元の投稿を閲覧する場合と比較すると,記載内容を容易に,かつ効果的に把握することができるようになったというべきである。また,…本件各ブログ記事は,インターネットという不特定多数の者が瞬時に閲覧可能な媒体に掲載されたことに加えて,証拠…によれば,ブログ記事…については掲載から約1週間で約400~600のコメントが寄せられており,…相当数の読者がいると認められることなどに鑑みると,本件各ブログ記事の内容は,2ちゃんねるのスレッド又はXのツイッターの読者以外にも広く知られたものになったといえる。
…これらの事情を総合考慮すると,本件各ブログ記事の掲載行為は,引用元の2ちゃんねるのスレッド等とは異なる,新たな意味合いを有するに至ったというべきである。そうすると,Yがブログ記事…を掲載した行為は,Xの社会的評価を新たに低下させたものと認められ,また,Xは本件各ブログ記事を閲覧しているから…,Yによる本件各ブログ記事の掲載行為により新たに侮辱,人種差別及び女性差別を受けたと認めるのが相当である。」
「Yは,約1年間にわたって名誉毀損,社会通念上許される限度を超えた侮辱,人種差別又は女性差別に当たる前記各ブログ記事を40本以上も掲載したのであり,不法行為の態様は執拗である。しかも,前記各ブログ記事の内容,作成経緯等に照らすと,Yは,2ちゃんねるのスレッド又はツイッターに掲載された情報を紹介する目的で前記各ブログ記事を掲載しただけではなく,Xの名誉を毀損し,侮辱し,人種差別及び女性差別を行う目的をも有していたと認めるのが相当である。…Yの不法行為によりXが被った精神的苦痛を慰謝するための金額は,180万円と認めるのが相当である。」
「…相当因果関係のある弁護士費用は,20万円と認めるのが相当である。

(3)コメント
 ツイッター上でのいわゆるリツイートについて,自身の発言と同視するという裁判例がありました(東京地裁平成26年12月24日判決)。本件は,同裁判例に続き,他人の発言を引用しただけでも名誉毀損等の責任を問われることがある,という裁判例です。

リツイート事件(名誉毀損)・東京地裁平成26年12月24日判決等
 

 さらに注目すべきは,本件の慰謝料額です。Yの行為の悪質性から,弁護士費用込みで200万円の損害を認定しています。従前の例からするとかなり高額な部類に入りますね。

令和元年10月5日追記

本判決の200万円の支払命令は,控訴審でも維持されました。